今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

社長の質問

(写真:つつじの庭園にようこそ)

《ロングキッスグッドバイ・ネタバレ注意》

今から20年前に、『ダイハード』で有名なレニー・ハーリン監督が、『ロングキッスグッドバイ』と言う作品を作りました。
監督の他の作品同様、これも物凄いアクション大作ですが、主人公は普通の主婦。夫も子供もいます。
そのおとなしげな主人公と世界観のギャップが絶妙で、とても好きな作品の一つです。
実は、この主婦、記憶喪失のトップエージェントで、その過去が原因で巨大組織と戦うことになります。
その組織と言うのが、アメリカの諜報機関C◯◯です。冷戦終結後、協調ムードの中予算も減らされ、自分たちの組織の存続を危ぶんだ彼らは、独自にテロの自作自演を計画。それで、「俺たちは必要な存在なんだぞ〜」と認めて貰おうとします。それに、一主婦が立ち向かうストーリーですから、ゾクゾク来ませんか?

《社長の質問》

ある時、社長から質問が出されます。
「最近聞く◯◯はうちの会社にとってどうなんだ。」
社長は世の中の流れには人一倍敏感で、よく新聞を読んでいます。
またマスコミにも、以前は専門部署だけが知っていたような内容が頻出するようになりました。
例えば、
ビッグデータ
・ドローン
機械学習
・IoT
・自動運転
など、普通に新聞の一面に出てきます。
特に、ビッグデータやドローンは、実際に取り組んでいるところは限られていても、もはや「今さら聞けない」ワードにランクインしています。
反面、言葉先行で成功事例も一部なので、専門チームでもなければ、まともに語ることすらできません。

対して、私たちは相手が社長であっても、ついつい聞きかじりを総動員して、適当にその場を凌ごうとします。
専門家と思って聞いたのに、何だか煮え切らない返事に社長もガッカリ顔です。
「まだ、具体的でないのか。」と言う肩透かしと、「うちの専門家チームの勉強はこの程度か」との二重のガッカリでしょう。
しかし、上記のC◯◯の例のみならず、企業の部署は自分たちの存在価値を示し続けなければ、いつ統合や縮小の憂き目に遭うかも知れません。ですから、社長からわざわざ質問をして貰えると言うことは、自部門の存在価値を示すチャンスなのです。

《社長と各部署の関係》

社長と言う立場は、まず自分の会社の経営に責任を持たねばなりません。それは、利益の確保、そして社会的信用を守りながら、一人でも多くの雇用を確保して、社員の生活を守ることです。
それが会社組織の目的であり、その下の機能分化した部署は、目的達成のための手段です。

ところが、機能分化した側にいると、案外この単純な理屈を忘れがちで、自分の部署は会社にとって必要不可欠な機能と思っていたり、待っていれば自動で仕事が降りてくると考えたりしがちです。
しかし、現実は、開発会社が開発機能を完全にアウトソーシングして自分たちは提案営業に特化するとか、経理・総務部門ですらグループ企業に統合されるということがザラにあります。
つまり、部署は自分たちの存在意義を示し続けねば、いつか失職の危険があるのです。また、それが経営者の目線です。

要約すれば、社長は会社の経営に責任をもち、それぞれの部署はスペシャリストとして社長を補完する関係です。
少人数の工房や、レストランの厨房なら、そこのトップが一番のスペシャリストですが、企業では各部署という機能にスペシャリストが配置されています。そのスペシャリストと社長の接点が、社長の質問です。その答え方如何では、部署の存在意義を問われかねないので怖いのです。

映画のC◯◯のように、自分の存在意義を無理に作り出さなくても、自分たちの存在意義を示す機会は溢れています。要は、それをキチンと拾うかどうかだけなのでしょうね。
もちろん、私たちが経営方針や、ビジョンを決められる訳ではありませんが、社長が正しく判断できるような材料を提出するのが、現場の私たちスペシャリストの責務であります。