今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

風を受けて走る


(写真:道端の田園)

見渡す限り水平線の中を、一艘のヨットが、はち切れんばかりに風を受け帆走しています。そして、どこまでも続く海のブルーに、マストと航跡だけが白く輝いています。

私のブログのハンドルネーム「フェアウィンド」(順風満帆)は、そんな光景に憧れて付けました。

順風満帆の人生、それはまさに、誰しも望むものです。
そして「それは君のことだよ」と言う人もいますが、言われて見れば、確かにそうかも知れません。

・キチンとした仕事にもついています。しかも、理不尽なことをしている訳ではありません。
・借金もありません。
・妻や子供もいます。
・介護しなければならない家族もいません。
・今のところ、健康の不安もありません。
・プライベートは充実しています。
・好き勝手投稿しても許してもらえます。

辛いことばかりの人生のはずが、よくよく見てみれば順風ばかりが吹いています。おそらく、そう感じるのは私だけではないでしょう。

順風満帆の人生?
恨み呪いの人生の間違いではないか?

・朝から晩までこき使われ、仕事のためクタクタ。
・働けど、自由になる金なんて知れている。
・家に帰れば不機嫌な妻と、生意気な子供。
・元気だけが取り柄で口うるさい両親。
・医者は、飲むな、食うな、吸うな、運動しろと喧しい。
・休日くらい、そっと一人にして欲しい。
・せめて投稿で憂さ晴らししなけりゃやってられない。

環境は全く同じでも、視点を変えれば、こんな不平不満が吹き出て来ます。
何故でしょうね。

Facebookは、幸せコンテストの会場」と表現する人もいます。
確かに、皆さんの投稿を拝見すると、人生満喫ネタが多いですね。
「この人は仕事も頑張っているけど、ブライベートもこんなに幸せそうな人なんだ。」と、いつも感心します。
また、「それに比べて、この俺ば鳴かず飛ばずで情けない」とヘコむこともあります。
でも、よく考えて見れば、お互い実名を晒して投稿しあっているのです。リアルな友達との会話と同じで、言えるところは自ずと限られます。
家庭内の問題、職場での不満、将来の心配など、とても言えるものでありません。もし、言ったとしても、非常に前向きで、清々しい内容に変換するでしょう。

これは、Facebookのみならず、世の中の縮図です。
本当の苦しみ悩みはサラリと隠して、お互い良い部分だけ見せあっている。すると見せつけられた人間は自分と比較して、つまらない「オレ」に歯噛みする。そして、人が羨ましく思えてなりません。
しかし、お互い苦しみ悩みばかりが実態です。
かつて、美白で一世を風靡したのが、鈴木その子氏でした。そのマスコミでの取り上げられ方が、事業の成功、多額の資産、豪邸といった外見的なことばかりなのに違和感を感じていました。果たして68歳で急逝した、その生涯の内実はどうだったのでしょうか。そこまで、幸せをアピールしなければならないのは、内面に深刻な憂苦を抱えていたためだったのでは、との思いが拭えずにいます。

つまるところ、お互い飾った表面を競っては、仮初めの優越感に浸ったり、また自分に引き当てて深く傷ついているだけではないでしょうか。そして、人と比べては、自分の不平不満を助長させている。
しかし、もっと自分自身をキチンと見つめてみれば、苦しみ悩みはあっても、人生に追い風は絶えず吹き続けています。少なくとも、この日本に生活している限りはそうだと思います。

自分の人生は、帆に風を一杯受けて進んでいる、恵まれた人生であると、想像でもしてみる。そして、本当にそう言えないか、客観的に見つめ直す。つまらない筈のことが実はとても特別だったり、あるいは、平凡な人生が実は挑戦とチャンスに溢れていたり、絶えず追い風は至る所に吹いていたり。
そうして、非常に恵まれている人生に気がついた時、人はたいへんな勇気を持てるのだと思います。