今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

羽根が生えている人


(写真:桜通り、今が見頃)

「思いついたら、すぐの人」

さっきまで、アイディアを口にしていたかと思えば、気がつけば走り出している。
いろいろと周りとの調整もいるし、準備もいるだろう。ちゃんとゴールまで考えているの?
周りはいつも心配したり、怒ったり、呆れたりします。

「だって、そんなことは走りながら考えればいいじゃん。ゆっくり考えている間に先越されたらどうするの?」
「待って下さいよ。今から会議を開きますから、そこで皆んなで話し合いましょうよ。」
「えーっ、そんな会議している時間なんか勿体ない。5人で2時間話し合いをして、10時間でしょ。それだけあれば、簡単な試作くらいできるよ。」
「ちょ、ちょっと!ああ、行っちゃった。」

こういうのを羽根の生えている人というのでしょうか。
やりたくなったら気持ちを抑えられず、腕にも自信があるから、どこへでも飛んで行けます。つまり、まずは行動、そして、それに向かって熱く全力疾走です。
多衝動性障害じゃないかと、周りが心配になるくらい気が多い。そして、失敗も人一倍多い。
だから、周りは「いい加減にしろ」と頭に来て、首輪を付けようと画策します。

かつて、本田宗一郎氏が現役だったころ、若いメンバーで、ある企画を立ち上げようとしていました。
その若手たちは、「いいか、親父(本田氏)には見せるな。ぐちゃぐちゃになるから。」と申し合わせていたそうです。
ツンボ桟敷に置かれた本田氏は、すっかり臍を曲げてしまいましたが、やがて若手の苦労が実って大きな成果に繋がった時、「若い人たちは素晴らしい」と賞賛したと言います。

これは、世代交代の物語でありますが、本田宗一郎氏が「羽根の生えている」人だったことも分かります。
創業社長とは、得てしてこう言うものなのでしょうか。
ですが、ある程度マーケットが見えて、組織体制がしっかりしてくると、羽根を生やして自由に飛び回られては困るので、いろいろと周りが規制を始めます。

私も、小ぶりながら羽根を生やしているタイプなので、随分周りから怒られました。例えば、製品の仕様をバージョンによってころころと変える傾向があり、長く使っているお客様に説明がたいへんだからと、ついに担当を外されました。
「面白そうなものは仕込んでおこうよ。どうせ認知されるまで、時間がかかるし。今から仕込んでおかないと、旬なころに市場が反応しないよ。」
これが私の考え方。
「でも、あなたが食べ散らかした後を掃除して回るのは誰なんですか?」
ごもっとも。二言もありません。
確かに、私は一時おかたずけをしてくれる人に恵まれたので、その頃の悪い癖が残っているかも知れません。

でも、そういう制約は、羽根の生えた人間には鳥かごに閉じ込めらたに等しく、窮屈でなりません。そして、隙あらば制約の間をかいくぐって飛び出したいと狙っています。
本当に困った人種ですが、でも時に市場にインパクトを与える人でもあります。
そんな羽根の生えた人を許容できる文化と体力があれば良いのですが、現実にはなかなか難しいでしょうね。