今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

営業とセールスマン


(写真:桜も盛りを過ぎし頃)

後輩の営業マンが感心して言いました。
「営業とセールスマンは違ったんだ・・・。」

営業職、英語で言えばセールスマン。
ですから、同じと思うのが普通です。しかし、あるトップセールスに「セールスマンの仕事と、営業の仕事は違う」と言われて、目から鱗が落ちたそうです。

思うのに、セールスマンと言ってもふた通りあります。
一には、ものを届けることによって対価を受け取るのセールスマン。
二には、価値を創造することによって稼ぎを上げるセールスマンです。

ものを届けるセールスマンは、すでにある顧客や販路を使って、リピーターで売上を上げる人です。分かりやすく言えば、喫茶店に業務用食材を卸しているルートセールスの営業がそれに当たります。
もちろん新人の頃は、右も左も分からないので、まずは既存顧客周りをして、顔を覚えて貰わなければなりません。ただ、いつまでもそれでは単なる補充員になってしまうため、任された地域の顧客の拡大を求められます。

そうすると、今までと勝手が違います。
「こんにちは、今日はどうですか?」
「そおねえ、コーヒーを10キロ追加して貰おうかしら。あと、フライなんだけど、業務用をもう少し増やしてくれる。」
「有難うございます。」
そして、景気のことや天気のことなど、当たり障りのないことを話して、関係を深めるのが今までの営業行為でした。

ところが、新規顧客の獲得は、そうすんなりとはいきません。
割とお店が空いている時間を狙って、「始めまして、私◯◯コーヒーの◯◯と申します。実はこのたび、この地域の飲食店の皆さんに、うちの新しいローストコーヒーを知って貰おうと訪問しているんですよ。」
「あっ、そういうことならマスターに聞いてきますね。」
「有難うございます。」
「あの、今は間に合っているそうです。」
「そうですか。分かりました。では、これがうちの総合カタログです。お渡しいただけますか。」
とまあ、門前払いが普通です。

既存顧客を回る時間の中でなんとか時間を捻出して、新規開拓を頑張るのですが、新規顧客=他社の既存顧客なのでなかなか入り込みは大変です。
また、よくいろんな営業の人から売るものがないと愚痴を聞きます。確かに今の時代、いろいろなものが行き渡っています。昔は「無いものはない」という店のキャッチコピーが通用しましたが、ネットの時代、検索をすれば、まさに無いものはないのは、一般消費者である私たちの方がよく知っています。
その中で、ものは売れない、だから、売るものがないのは当たり前です。

では、何を売るのか?
それはものでなくて、価値を売るのが正しいと思うのです。
例えば、喫茶店業界は、他の業界同様、慢性的な人手不足に悩んでいます。さらに、コンビニやフードコート、ファーストフードに客足を奪われています。
ならば、そんな悩みを解決すれば、顧客にとって価値のある提案となるでしょう。
どんな提案が考えられるでしょうか。人手をかけずに、コンビニやファーストフードで出せない価値を、今度は喫茶店のお客さんに提供するにはどうしたら良いでしょうか。

稚拙なりに考えてみます。
まず、広い駐車場を利用して、朝の、しかも8時までの時間帯だけオープンカフェを作ります。さらに「健康早起きメニュー」と称し品数を絞って低価格で提供するとか。カウンターもレジも一箇所、基本、お水、おしぼり、あと料理はセルフです。
早起きは三文の得と考えている人たちへ提供するプレミアム感のある、しかも安いメニューで、なおかつ、マスター一人で回せます。
当たれば、モーニング専門店という展開も面白いかも知れません。

少々、いやかなり強引な提案ですが、そんな新しい展開を支援する営業はどうでしょうか。
私たちIT業界では、これをソリューション営業と呼んでいます。まさに、ソリューション=解決策を売るのです。
こんな、価値を創造できれば、販売の機会は広がります。そして、これが価値を創造して稼ぎを上げることです。

前出のトップセールスの方の言う「営業マン」は、人脈を駆使して放り込む営業スタイルを指しているのかも知れません。しかし、やはりソリューションを生業にする私たちは提案を売り、価値を創造することで、真の「営業マン」を目指したいと思います。