今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

偽装的生き物


(写真:終列車)

以前、NHKで日曜日の夜に放送していた韓流歴史ドラマ『イ・サン』。
イ・ソジンという、うがい薬のような俳優さんが主役でした。

その劇中、王の側室が妊娠するエピソードがありました。
正室との間に子供がいなかった王や宮廷は大喜びし、側室やその家族の宮廷での立場も一気に強くなります。
しかし、やがてその妊娠が間違いであったことが分かります。誰しも勘違いはあるもの、そこですぐにゴメンナサイをすれば良かったのに、散々周りに期待させた側室はなかなかなそれを言い出せずにいました。

やがて、側室には皇子の母としての地位が与えられ、いよいよノッピキならなくなってから、国の宰相である兄に相談します。
それを聞かされた兄の魂消たこと。ここまで事が進んで、「実は間違いでした」などと言おうものなら、妹である側室は王と宮廷を欺いた罪で厳罰、自分も宰相の身分を剥奪されて、どのような目に合わされるか分かりません。

そこで、兄妹ともども隠蔽を図ることにします。しばらく体調が優れないと言い繕って、妹の側室を公の場から遠ざけます。裏では「側室様はどうも良くないらしい」と噂を流し、それらしい状況を作った上で、流産したことにしようと目論んだのです。
ところが正室の王妃がおかしいと不審を立てました。
それは、いつも側室に処方される薬の中にお腹の赤子によくないものが含まれていたからです。しかも、側室からの依頼で処方されていたのです。
やがて、王妃は偽装妊娠の事実に勘づき、側室を問い詰めます。その鋭い追及についに側室は全てを白状し、王妃は王に明かすと告げます。

その経緯を妹から聞かされた兄は、王妃に見逃してくれるよう嘆願しますが、すげなく拒否。
思い余って兄の宰相は事もあろうに、王妃暗殺を画策します。しかし未遂の内に事は露見し、妹は宮廷から追放され悶死。兄も宰相の身分を剥奪され、島流しにあって最後は流刑地で病死します。

この宰相は、劇中では王の不遇の時期を支えた無二の親友だったので、彼の裏切りを知った王はショックを受けます。死刑にせず、流刑で済んだのは大温情というべきでしょう。
しかし、いくらでも引き返すことができるポイントはあったのに、どうしても行く所まで行ってしまうのが人間です。ドラマの虚構とばかり言っておれません。

私たちでも都合の悪いことが起きた時は、まずどんな心が出るでしょう。悪魔が囁く決まり文句は「どうせ黙っておけばバレないし」。
その言葉に騙されて、軽い気持ちで偽装を始めると、だんだんウソにウソの上塗りが生じて収拾がつかなくなります。挙句には、悪魔の狙い通り地獄に引きずり込まれます。

しかも偽装をしていると、だんだんと感覚が麻痺して当たり前になり、エスカレートしていきます。
よく大手食品会社や、外食チェーン店で食品偽装が問題になります。聞けば、かなり以前から常態化していたとか。最初は悪い事だと自覚があっても、長い間やって、しかもバレないと悪いことをしている感覚さえ麻痺するようです。さらに時間と共に程度が甚だしくなるので、やがて世間に知られる頃には酷いことになっています。

「商売と屏風は曲がらにゃ立たぬ」といわれる言葉のように、食品業界でなくても、偽装の罠は私たちの周りの至る所に仕掛けられています。
説話にも「ウソは人間界にしかない」と言われます。私たちは偽装的生き物であることを自覚して、その罠にハマらないようによくよく注意しなければなりません。