今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

強さとしなやかさと

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(写真:陶器の作品展にて)

『強いばかりでは、もっと大きな力が加わった時に脆い。風にそよぐ柳のように、しなやかさこそが難局を乗り切るには必要な力である。』

ある時、清水の次郎長親分が知己と酒を酌み交わしていました。
ある人が次郎長に、
「次郎長親分は喧嘩が強くて、決して負けたことがないんですってね。」と聞きました。
次郎長は少し恥ずかしそうに「いえね、若い頃の話です。それに、決して負けないわけではありません。刀を抜いて命のやり取りですから、負ければ死ななければなりません。ですから、勝てない相手とは決して喧嘩をしなかったのです。」
「ほう、戦う前から、勝てる相手か、負ける相手か分かるのですか?」
「別に理屈があるわけではありません。ただ、こちらが刀を打ちつけた時に、全力で打ち返してくる相手には負ける気がしません。しかし、いくら打ちつけても、打ち返しもせずに受け流す相手がいます。こういう相手には、とても勝てる気がしませんから、それこそ命からがら一目散で逃げたものです。」
それを聞いて、その場に同席していた剣豪は「清水の次郎長親分は剣の極意を分かっていらっしゃる」と褒めたと言います。

私には剣のことは分からないのですが、察するに、命のやり取りの場で未熟であったり、喧嘩相手との力量の差を図りかねている人は、なんとか勝ちを拾おうとしゃにむに刀を振り回すものです。それで120パーセントの力を出そうするのでしょうが、次郎長にはそれが未熟さのサインのように見えて、与し易しと思えるようです。
対して、経験を積んだ強者は、じっくり相手の動静を見極めて、強弱を図る余裕があります。刀を打ちつけても、打ち返さず柳のように受け流す様に何とも言えない不気味さを感じて、次郎長は命からがら逃れたのではないでしょうか。

同じく、商談においても、あるいはチーム作りにおいても、自信がなければひたすら自分の主張ばかりを繰り返します。
相手の顔色も見ずに、自社の商品の利点や特長ばかりまくし立てる営業マンがいます。そして口を挟む機会を与えてくれません。おそらく聞かれた時の切り返しの修練ができていない新人さんなのだと分かります。あるいは商品知識が十分でないか。
チームにおいても、年若いメンバーからの反対意見を受け入れられず、火のついたような反論が始まるのは、チーム運営に慣れていない証拠。

与えられた商材やカタログという武器や、チームならばリーダーという立場や、経験やスキルという他のメンバーに突出した武器は、その人の強みです。しかし、その強みをもっと大きく見せようとすると、かえって反対の印象を持たれてしまいます。

むしろ、自分の投げた言葉に対して相手がどう反応をしてくるかを楽しむくらいの方が頼もしく思えます。
よく考えて見ると、自分が誰にも負けないと自負している分野では、相手に十分喋らせているものです。
そして、相手が見せる反応の中に付け入る隙を見つけて、一気に流れをこちらに引き寄せます。

もちろん、これはその道の手練れの心境ですが、ことさらに強さばかり強調する弊害は知っておきたいものです。
そして真の強さは、その人のしなやかさにこそ現れるものなのだと思います。