今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

チームワーク

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(写真:名古屋の朝焼け)

医療系の漫画の走りが手塚治虫氏のブラックジャック
「人の命を預かる大切な仕事であり、そこにはいろいろなドラマもあるはずなのに、どうして今まで医者を扱った漫画がなかったのだろう。」
手塚氏は、ブラックジャックの連載開始の動機をこのように語っています。

ただ、少年誌で手術シーンの連続は抵抗があったようで、当初ブラックジャックは「恐怖コミック」に分類されていました。同時期に連載されていた「エコエコアザラク」と同じ扱いだった訳です。
やがて、手塚氏の思いが理解されてか、「ヒューマンコミック」にタイトル変更されました。かくして、ブラックジャックは、「鉄腕アトム」や「火の鳥」と並んだ、手塚治虫氏の代表作に数えられています。

このブラックジャックは、アウトローの無免許医、そしてスーパードクター。医療界の鼻つまみものでありながら、卓越した技術で、威張っている大病院の教授の鼻をあかしていきます。
いわば、手術に立ち会ったその他大勢の医療スタッフと、ブラックジャック個人のスキルの差が一つの見せ場なのです。

対して、坂口憲二氏主演でドラマ化された医療漫画「医龍」の主題はあくまでもチームです。
劇中で何度も繰り返されるのは、「チームは足し算ではない。掛け算だ。」という言葉です。
手術の現場には、いろいろなスタッフが立ち会います。
まず、手術の要になる執刀医。テレビドラマに出てくる大きな手術では助手がつきます。
その他、麻酔科医、臨床工学士、器械出しや外回りを担当する看護士で構成されます。
「足し算」とは、ブラックジャックのようなスーパードクターがいれば大抵のことはこと足りて、あとは優秀なスタッフが揃うほど手術の精度が上がる、と言う状態です。
このように、従来の医療漫画やドラマは、スーパードクター一人が活躍し、後のスタッフは感心してそれを見ている、という描かれ方が多かったと思います。

「掛け算」とは、他のスタッフが100でも、もし0のスタッフが一人いたら、100✖️100✖️100✖️0=0で必ず手術は失敗することを言います。
後のメンバーが優秀だから、自分一人は少々失敗しても、スキルが低くても構わないだろうは許されません。
他のことなら時間をかけてやり直しがきくこともありますが、人の命は一度失われたら、二度と取り返しがつかないからです。
だから「医龍」の劇中では、主人公の朝田龍太郎は自身がスーパー心臓外科医でありながら、手術のスタッフ選びには徹底的にこだわっていました。
自分が思う存分力が発揮できるのは、信頼して後方を任せられるスタッフがいることが絶対条件だからです。

これは、私たちIT企業でも共通しています。
その最たるものは、お客さんの前で自社の技術を売り込む営業マンと、それを後方で支える技術者のチームワークです。
いわば、「お客さんに約束するのが営業、それを証明するのが技術者」です。

営業マンの仕事は、何より売り上げの数字を作ることです。他に何の作業をする訳ではありません。
しかし、営業マンはお客さんの前で堂々と自信満々、自社の技術力を売り込みます。それは、お客さんに対して、「私たちはこれだけのことができます。してみせます。」の約束をしているのであり、営業マン自身がその技術を持っている訳ではないので、その段階ではまだ空手形です。
その時に、後方の技術者を信頼していなければ、お客さんに対して約束をすることは、とても怖くてできないでしょう。

さて、営業マンは数字以外に「機会」も作っていると言えます。つまり、そもそも販売がなければどんな優秀な技術者も活躍しようがなく、また同じ仕事ばかり振られたら技術の進歩も成長もありません。
その意味では、技術者は「機会」を与えてくれる営業マンに感謝が必要ですし、余程ひどいことがなければ、少々背伸びした案件には応えるべきだと思います。
営業マンは、技術者に比べて情報弱者です。そこへ専門的なことを振りかざして萎縮させてしまっては、会社として進歩がありません。

営業マンは後方の技術者を信頼して思いっきり提案し、技術者は与えて貰った機会に感謝して、それに全力で応える。そんな会社の中のチームワークが理想なのですが、いかがでしょうか。