今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

ビジョナリーの真実

f:id:FairWinder:20150330220047j:plain
(写真:風の吹く朝)

映画監督、スティーブン・スピルバーグ氏の80年代の代表作の一つがE.T.です。
宇宙船から迷子になった宇宙人E.T.を、子どもたちが自分たちの力だけで国家機関から守り、最後宇宙人のマザーシップに返すというストーリーでした。

ストーリー自体は日本のアニメでもよく取り上げられる題材ですが、「未知との遭遇」以降磨いた映像技術で多くの聴衆を魅了し、公開当時は映画館の前に入館待ちの列ができていました。
まだ、DVDも、オンデマンドも、ストリーミング配信もない時代だったので、話題作は映画館で見るしかなく、それも大ヒットに寄与した点は否めません。
しかし、スピルバーグは、間違いなく映像の新たな時代を開いた監督です。そして、それ以降「ジュラシックパーク」等CGを駆使した作品で常に時代の先端を走り続けました。

お題のビジョナリーとは、「先見性のある」という意味。転じて、ビジネスの世界では、今まで世の中にないサービスや価値を提供する人を指します。
古くは、車を発明して馬車の時代を変えたフォードや、最近なら、汎用的なOSを開発してパソコンの時代を開いたビル・ゲイツiPhoneでそのパソコン中心の世界を変えてしまったスティーブ・ジョブスがビジョナリーと言われます。
おそらく、IPS細胞の山中教授もビジョナリーと数えられますし、前のNHKの朝ドラの「マッサン」こと竹鶴政孝氏もそうでしょう。
そして、映画の世界では、上述のスピルバーグや、「スターウォーズ」のジョージ・ルーカスもビジョナリーに数えて良いでしょう。

E.T.が大ヒットした当時、スピルバーグ氏にこんなインタビューが行われました。
「どうしたら、大ヒットする映画が作れるのですか?」
おそらく、スピルバーグ氏をビジョナリーと見て、彼の目にどんな世界が映れているか知りたかったのでしょう。
しかし、スピルバーグ氏の答えは私には意外でした。
「僕は、ヒットする映画を作ろうとしている訳ではない。
ただ、自分が面白いと思う映画を作っているだけなんだ。」
(なあんだ)
余程凄い秘訣があると固唾を呑んでいた人には肩すかしだったでしょう。
曰く「僕は好き勝手やって、結果ヒットした」というように聞こえるからです。

しかし、映画製作のようなお金のかかる事業の成否を握る監督が、「自分が面白いと思うものを作っているだけ」という発言はある意味凄いと思います。
それは、余程自分の感性に自信がなければ言えない言葉だからです。
かつて、萩本欽一氏は「お金を無くしたいと思ったら映画を作れば良い」とまで言っていました。
映画の成否はシビアで、当たれば大きいのですが、外したらその映画監督の評価は一気に下がります。二度とメガホンが握れなくなることもあります。
だから、プロデューサーと一緒に、外さないように、集客できるように、といろいろと企画を練り込みます。時に、映画監督の感性に合わなくても実行しなくてはならないこともあるでしょう。

ただ、興行を考えて収益は良くても、後々まで人々の心に残る名画になるかは別です。本当の名画とは、興行の成否を突き抜けた、監督自身の思いがなくてはならないのだと思います。
「自分が面白いと思うものを作っているだけ」というスピルバーグ氏の言葉は、自分の納得できるところまで作り込んだもので映画に変革を起こしたいとのモチベーションの表明だったと思います。

考えてみれば、「じゃまなか」と言われ続けた山中教授、アップルを一度は追放されたジョブス、そして、売り出したウィスキーがダメだしをされて出資者から追い出されそうになったマッサンと言い、今日ビジョナリーと言われる人は、実は不器用で、ヤンチャな人が多いようです。
ただ、誰よりも変革の思いが強かった。そして変革を諦めなかった人たちではなかったかと思うのです。

『ビジョナリーを作るのはビジョンではない、変革を実現したいという原動力なのだ。』