今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

競合

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(写真:皐月の頃)

「顧客の頭の中にある選択肢の束こそが競合」と言われます。

私の実家が喫茶店を経営している地区は、田舎のわりに、狭い範囲に喫茶店が5軒、飲食店が2軒の激戦区です。
「競争相手が多いからたいへんでしょう」と聞くと、「最近の一番のライバルは『うち食』だ」と言うのです。
確かに、同じエリアで看板を掲げている同業者は、地域のシェアを分け合う競合です。しかし、本当の競合は、思わぬ方向からやってきます。

かつて、フェリー業界を窮地に追いやったのは、陸の高速道路でした。高速道路の大幅な割引によって、フェリーを利用するより、陸を走った方がお得と思われたためです。
今は、新幹線と航空業界が競合関係です。カーナビの競合はスマホ、缶コーヒーの競合はかつての協業先であったコンビニです。

消費者は、自分の目的とすることが果たせれば良いので、その時、顧客が頭に思い浮かべる選択肢の全てが競合です。

ですから、昼時にお腹を満たすことを顧客の目的と捉えたら、万事世知辛い昨今、『うち食』には敵いません。喫茶店王国の愛知県ですら、「時間があるな、喫茶店でも行くか」ではなく、「近くのコンビニに行くか」となっているのですから。

ならば、提供する価値の軸をズラしたらどうでしょうか。
つまり、「お腹を満たす」だけでは『うち食』には敵いません。『うち食』では味わえない、喫茶店でなければできない「体験」とは何でしょうか。
それには、いろいろあります。
クーラーが効いて、心地の良い音楽が流れている中で、お気に入りのコーヒーを飲む贅沢感。
好きな雑誌や漫画を読みながら、お気に入りのランチを食べる。しかも、冷たい水が飲み放題。
誰からも邪魔されず作業に没頭できる環境、とか。

喫茶店は自分にとっての特別な時間をくれるから利用する、と言うのが、本当の価値です。
ならば、そのための演出を徹底的にすべきでしょう。少なくとも、現実に引き戻すような、地域の防災ポスターや、芸能人のサインは、見えないところに移動すべきでは。

コンピューター業界も、クラウドばかりが競合ではありません。
外国の労働者が普通になれば、事務作業はコンピューターより、人件費が安い人手で行った方が安上がりになります。
そうすれば、コンピューターの競合は人間そのものです。コンピューター=効率化、では生き残れません。

「なぜ、お客様はうちの商品を選んで下さったのですか?」
この質問の答えが、自社の強みとなります。
自社の強みが分かることは、とても大切だと思います。そこを強化することは、顧客の頭の中に選択肢を与えないと言うことですから。
しかも、それは私達が日頃提供していると思っている価値とは、必ずしも一致していないことも、肝に銘じたいと思います。