今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

シンプルライフ

(写真:高台より)
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子供の頃流行った『じゃりん子 チエ』。

後のスタジオジブリの高畑勲氏が監督を務め、映画化をしました。現代劇ですが、時代劇的なノスタルジーの要素もあって、高畑監督の実力が遺憾なく発揮されています。

自分も当時『じゃりん子 チエ』の世界観が大好きでした。
現実世界は、景気じゃ、学歴じゃ、冷戦じゃ、戦争じゃと子供には煩わしいことばかりでした。それに対して、チエちゃんの世界は単純極まりないものでした。

とは言え、チエちゃんの事情は複雑極まりなく、昼間は小学生、夜はホルモン焼き屋店員。
父親は大人のクセして欲望のままに行動しては次から次へと問題を引き起こます。さらに母親は別居中で、父親と母親の間に挟まれてチエちゃんは気苦労が絶えません。

ストーリー展開は、いつも父親のテツが良からぬことを思いついて、そこへややこしい大人達が大勢絡んできます。そしてお決まりのドタバタの果て、チエちゃんや周りの大人の活躍で大団円を迎えると言うものです。
実際、劇中に生活していたら騒がしくてしょうがないのですが、登場人物の人生観は至ってシンプルです。

チエちゃんは、友達思いで、家族も大切にします。少々口の悪いところはあっても、学校のことも、店のこともキッチリしている、至って真面目な小学生です。
その状態が大事なのであって、それを阻害する数々のトラブルに立ち向かっては現状回復を試みます。
つまりは、そういう話です。

家には、華美な調度もなければ、テレビはあっても見ているシーンは多くありません。
金持ちは登場しますが、それを羨むでもなく、したがって余分なお金儲けには興味がありません。(父親のテツは別です。)
やたら、自分を誇示するでもなく、人が走っているからと、一緒に走りだすこともないのです。

きっと本人に聞いたら、「小学校とホルモン焼き屋の二足草鞋で忙し過ぎて他のことを考える余裕がない」と怒るでしょう。
でも、小学生だけを専門でやっている子供の生活はどうでしょうか。
間違いなく自由になる時間はチエちゃん以上です。しかし、空きの時間はやはり何かで埋めなくてはなりません。
それが、塾やスポーツ教室や、お稽古ごとや、テレビやゲームだったりします。そして、その依存症になったり、競争社会に組み込まれたり、自分だけ取り残されていないかと怯え、浮いていないかと恐れ、さらに妬み嫉みに身を焼かれています。
つまりは、自分で自分の人生を複雑にしています。
勤労小学生を勧めている訳ではありませんが、仕方ない事情はあるにせよ、チエちゃんは人生から余分なものを取り去った生き方が出来ているのです。

一方、自分を反省してみると、あれもこれもと、大した力量もないのにいろんなことを取り込もうとして疲れ、しかも「凄いですね、よく知っていますね」と、ただそれだけを聞きたくて汲々としています。
チエちゃんの生き方を見ると、」もっと人生はシンプルで良いのではないか」と思えます。
つまり、本当に大切なことに集中して悔いのない人生を送る、それこそがシンプルライフです。