今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

効率と感性

(写真:漢方薬専門店)
f:id:FairWinder:20150304001640j:plain
仕事において感性の高い人は苦労します。

えっ?
感性が高い方がいいに決まっているだろ?

そうですね。
感性が高ければ、周りからも一目置かれますし、世間からも一流と見てもらえます。

しかし、感性が高いと言うことは、みんなが「とてもそこまではやっていられない」ところまでこだわる人です。

例えば、舞台で使う衣装を徹底的に細かいところまで作り込む衣装アーティストがいます。
でも、舞台では遠目にしか見えないのに細かいところまで作りこんでも、あまり関係ないですよね。ましてや、舞台のプロデューサーとしては少しでも余分な経費は削りたいはず。
ところが、「本物らしく見えないから」と予算を超過しても、何度も作り直そうとするアーティストがいたら全く迷惑です。

以前、NHKで特集されていたブロードウェーの衣装アーティストはそんな人でした。その道では、超一流ということで名の通っている日本人の女性です。
番組では功成り名を遂げた後の姿を見せていますが、感性が高いが故にそれまでの道のりは平たんではなかったと思います。
もし、その人が世間に評価されていないとしたら、それは単に予算をつぎ込んで仕事を増やす困ったアーティストに過ぎません。だから、普通は市場原理を理解し、決められた制約の中で、それなりの仕事をこなすことを覚えます。それはビジネスに携わるものとしては正しい姿勢です。
しかし、それができなかったのです。
何度も解雇通告を受けたかも知れません。しなくて良い下積みををずっと続けたかも知れません。自分の感覚を呪い、自己否定したかも知れません。
でも、変わらず貫いた故に、最後は世界中が認めたのです。
考えて見れば、今一流と言われる人には、この類の人が多いように思います。

当然高い感性の人は、同じこだわりを周りと共有することが容易ではないので、アーティストやスポーツ選手、作家のような一人で結果が出せる職業に就く人が多いようです。
しかし、共同作業でしか結果の出せない現場で高い感性を発揮するにはどうしたら良いでしょうか。

例をあげればこんな名士たちです。
例えば、映画監督の黒澤明氏。
漫画家の手塚治虫氏。
アニメ映画監督の宮崎駿氏。
そして、ディズニー映画総指揮のラスター氏。

中でも、黒澤明氏は、現場では物凄く怖い人だったそうです。現場を見学した助監督の婚約者が、あまりの監督の罵倒に驚いて、「お願いだから仕事をやめて」と泣いてフィアンセに頼んだと言います。
黒澤氏も手塚氏も宮崎氏も、よく現場で駄目出しをしまくる姿が放映されますが、スタッフはどんなに駄目だしをされようと彼らの感性を信じて歯を食いしばってついていきます。そして、彼らの下で働けることにたいへんな誇りを感じているのです。
だから、あのような完成度の高い作品が生み出されるのでしょうね。

最後の一人のラスター氏は、『アナと雪の女王』の製作総指揮を務めました。
彼の場合は、むしろスタッフの自由な感性を重んじ、コミュニケーションを大事にしています。
その土台は、スタッフ一人一人の、ディズニー映画を支えていると言う気概です。
そして要の部分では、ラスター氏の類稀なる感性が発揮されます。スタッフはその感性にまた触発されるのです。

私も、ある意味モノづくりの現場に立ちあっています。その中で、やはり感性は大切であると思います。
しかし、現場では感性よりも、効率や合理性が優先されるのは事実です。それで、感性が封印されるか、感性を押し通すには周りを実物で納得させるしかありません。
それでも、感性によらねばユーザーに響くプロダクトを作成することはできません。
人一倍苦労する道ですが、やはりこの道を進むしかないと思うのです。