今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

歩幅を合わせる

(写真:昭和食堂の夕暮れ)
f:id:FairWinder:20150301215506j:plain
いつも「マッサン」ネタで済みません。

「日本で初めての国産のウィスキーを作るんや」
夢に向かって、醸造不足というハンディをブレンドで乗り切り、何とか国産ウィスキーの製品化に漕ぎつけたマッサン。

ところが自信を持って売り出したはずのウィスキーが「煙臭くてまずい!!」と不評で、売れ行きはさっぱりでした。
今では、ジャパニーズウィスキーの特徴と言われるスモーキーフレーバーですが、当時の日本人の味覚には合わなかったのでしょう。

堤真一演ずる社長は、事態の打開を狙って、マッサンに日本人の味覚にあったウィスキーの調合を命じます。
しかしその時、マッサンは「わしの理想のウィスキーとは違う」と社長の指示を拒絶します。
そして、挙句の果ては「わしのウィスキーの味の分からん客には飲んでいらん」とまで言いきります。
これには、社長も頭に来て、とうとうマッサンは工場長を解任され、営業に回されてしまいます。

普通は主人公であるマッサンに肩入れしたくなるものですが、ほとんどの人は「社長が正しい、マッサンは間違い」と思ったことでしょう。
それはそうです。
だって、マッサンの言っていることは、「俺だけが本当のウィスキーを分かっている、所詮お前らの舌はつまらん」という超上からの目線であり、完全な一人よがりだからです。
これは実話を下書きにしているので、本当にモデルの竹鶴氏はこう言ったかも知れませんし、あるいは明治期の男性はこんな人が多かったのかも知れません。

ただ、実在のマッサン(竹鶴氏)は、今日日本のウィスキーの父と呼ばれ、その功績が讃えられています。ですから、マッサンの方に先見の明があったことになります。
おそらく時代が追い付いていなかったのでしょうね。

本当に良いものでも、まだ時代が追い付いてこないということはよくあります。

・ルパン三世
・キューティーハニー
・宇宙戦艦ヤマト
・機動戦士ガンダム

これらの作品には共通の特徴があります。

1.今にいたるまで社会現象と言われるほど親しまれていること
2.当時ではとても実験的な作品であったこと
3.でも、初回放送はパッとしなかったこと
4.再放送を繰り返すうちに徐々に火がついて、最後大ブレークしていること

つまり、これら大ヒット作も、初回放送の時は興業的には完全に失敗作であったということです。
それが再放送を繰り返すうちに、本当の価値に気が付いたコアのファンが現れ、そこにマスコミがスポットライトを当てて徐々に認知され、最後は一気に社会現象と化しています。

でも、良作ながら、そのまま消え去った作品もあるんですよ。
例えば、勝新太郎さんが制作した「警視K」。
そのハードボイルドな世界観に小学生の私はとてもはまりました。
しかし、残念ながら視聴率は低く、これで勝プロは借金を抱えたと言います。
もし、どこかで見られる機会があれば、一度ご覧ください。小学生の頃以来なので定かなことは言えませんが、今だからこそ光る秀作だと思っています。

一方、世の中には、クラウド、ビッグデータ、機械学習、モノのインターネット化という言葉が氾濫しています。特に私たちベンダーは取り組みを怠っていると、他社に取り残された感覚になって不安でなりません。
しかし、社会全体が国やメディアにあおられているだけで、現場ではまだまだ10歩も20歩も先の話、ということが往々にしてあります。
テレビ番組には再放送と言うリベンジの機会が与えられていますが、私たちが提供するものは一定期間で収益をあげられなければやり直しはききません。
先の準備は怠れませんが、今皆さんに受け入れてもらえるものを市場に提供しなければ生きていくこと自体できなくなります。

だからよく「0.5歩先」ということを言われます。
「1歩や2歩先」は耳あたりが良いのですが、実際に価値を感じて貰えなければ意味がありません。その受け入れて貰える限界が0.5歩先なのです。
特に業務だと、面倒臭いことをして自分の仕事を増やしたくないので、すぐに効果が出ると分からなければ手が出ないのは当然です。

だから、1歩2歩と急激な進歩ではなく、0.5歩ずつ歩幅を合わせチョコチョコ歩きでも確実に進みたいと思います。
イノベーションとは呼ばれなくても、着実に進めば必ず行き着くと言うことがあります。