今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

みのむし

(写真:Fly me from HAKATA)
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皆さんは、実際にみのむしを見たことはありますか。
最近、めっきり見かけなくなったので、若い人の中には写真でしか見たことがない人もいるかも知れません。

みのむしとは、ミノガ科のガの幼虫で、枯れ枝や落ち葉に口から吐いた糸を絡めて巣を作ります。その形が昔の雨具の蓑に似ているところからミノムシと呼ばれています。
巣はまるで、枝や葉でできた寝袋のようで、木の枝から糸を垂らして蓑ごと宙吊りになります。そして風の吹くまま右や左に揺れている様はなんとも愛嬌があります。

この蓑はたいへん丈夫にできており、みのむしの天敵の小鳥たちでは切り裂くことができません。
ただ、人間に対しては、この頑丈な蓑が却って仇になります。と言うのは、人間はみのむしを蓑ごと枝からむしり取って回ります。そして、カゴ一杯に集めたみのむしを、そのまま熱湯に放り込んで煮殺します。
その時、みのむしは、小鳥たちから自分を守ってくれるはずの蓑に閉じ込められて、命を落とすのです。

煮上がった蓑は、刃物で切り開かれ、中のみのむしは捨てられます。そして、あとの蓑はきれいに四角に切り揃えられます。うちのお婆さんは手先が器用で、この蓑を縫い合わせてバッグを作っていました。お店で買ったら結構したでしょうね。

さて、私たちは、いろんな他者と関わって生きています。優しい人、厳しい人、大雑把な人、細かい人、付き合い易い人、苦手な人。
それは、その人その人のパーソナリティーのようでいて、実はこちらの主観が作りだしたイメージに過ぎないかも知れません。特にファーストコンタクトが最悪だと、どうしてもそのイメージを引きずります。例えば、会ってイキナリ厳しく叱られた人は、どうしても怖い、苦手と言う思いが拭えません。
他にも、少し離れたところから見ていると、「なんだかいつもダメ出ししてるなあ」とか、「頭から叱りつけているなあ」とか、「だから、近づかないで置こう」と思います。また、あまり知らないくせして苦手な同僚、と言う人もいます。

つまり、私たちは他者と交渉をしている以上に、自分の中の他者のイメージと付き合っているのです。
そして、人間は自分を守りたいと言う気持ちが強いので、そんな他者に対して抱いたイメージを蓑のように纏って、危ない相手を近づけないようにします。
それは、非常に有効に機能することもありますが、時として過剰に機能して纏っている自分自身を苦しめます。

例えば、ちょっとした一言に過剰反応する人がいますよね。あれは、周囲に対してネガティヴなイメージを持ってしまい、その蓑でがんじがらめの人です。そして、自分を守っているつもりで、却って我と我が身を閉じ込めて、時には身を滅ぼすのです。

反省されるのは、他者その人と、そのイメージを混同しがちだと言うことです。
必然的に、そのような物言いとなり、相手もそれに応じた反応を返します。すると、ますますネガティヴなイメージが強化され、同じ息を吸うのさえ嫌な相手になりかねません。
ですから、みのむしのように自分で作った蓑に殺されないよう、自分の中の他者のイメージを客観的な検証したいと思います。