今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

認知バイアス

(写真:子供はみんなアーチスト)
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「認知バイアス」とは、社会心理学の用語です。人間は先入観を持つと、自分に都合の良い事象だけを見るために、ますます先入観が強化される事象を言います。

例えば、今のイスラム問題がそうです。
イスラム国を始め、世界で問題視されているテロ集団の多くは、イスラム系です。そのため、どうしても、イスラム系=テロリスト、と先入観を持ちがちです。
しかし、テロリストは、イスラム系ではごく限られたグループです。
ただ、この文明が複雑に絡み合った世界では、イスラムの人は普通に隣人です。そして、ひょっとして、そこにテロリストが紛れ込んでいるかも知れないので、私たちは安全なはずの自国内にいながら、テロの恐怖に震え上がっいます。
そうすると、イスラムの人のやることなすことが、そう見えてしまいます。ニュースも、そんな情報ばかりが目につくでしょう。結果、イスラム系=テロリストという社会認識が強化され、果ては回教徒狩りに発展し、イスラムの人は国内から排除されるかも知れません。そして、イスラム系国家と、それ以外が二極分化して争いあう悲しい事態に発展する可能性もあります。

同じように、悪いことばかりでなく、良い事象を見る時にもこの「認知バイアス」は働きます。
例えば、商品企画をする時、「自分は絶対これはイケる!」と思います。
この思い入れは大切ですが、同時に厄介な先入観になります。
勢い込んで市場調査を始めた時、どうしてもインタビュー相手からは前向きな回答を聞きたいものです。
しかし、当然「それイケるね!」と言う人もいれば、「どうかな、自分は要らないかな」と言う人もいます。
「それイケるね!」と言って貰えれば喜んで気持ちを強くします。
反対に「どうかな」の反応の時は、相手が本当の価値を理解していないんだ、と、言葉を尽くして説明を始めます。まるで「いいね」を引き出そうと誘導尋問しているようですね。
このように、自分の都合の良い情報だけを拾って、それで練り固めた企画では、そもそも失敗する可能性が高いのです。

そもそもインタビューでは、相手も気を使って良いことを言うものです。
むしろ、都合の悪いことを言ってくれる人こそ真摯に向き合ってくれています。どこが気にいらないかを聞き取ることができれば、それこそ価値のある情報です。
あの「今でしょ」の林先生は、自分に寄せられた意見の中で褒め言葉はあまり見ないそうです。それは、喜んで貰うのはプロとしては当たり前だからです。むしろ、クレームを選んで改善に役立てている点は、さすが見事にプロとして「認知バイアス」を乗り越えています。

私も恥ずかしながら、「認知バイアス」に騙されてきた口です。ですから、最近は歌の文句じゃないけれど「ありのまま」に事象を見るように心がけています。
難しいですけどね。